画像引用:Apple
今年の9月20日に発売されたiPhone11Proでは、とにかくカメラの機能がすごいと話題ですよね。
実際にiPhone11Proは、一眼レフカメラで撮った写真と見分けがつかないほどクオリティの高い写真を撮ることができますが、 動画の撮影でも同じクオリティを発揮することができるのでしょうか。
今回はスマホでの動画撮影の限界、スマホ1台でどこまでのクオリティが再現可能なのかを探っていきたいと思います。
iPhoneで実際に撮影しているCM事例
実は、これまでにもiPhoneだけで撮影されたCMは作られてきました。
まずはこちら、2015年5月iPhone 6/6 Plusで撮影された高級車「ベントレー」のCM。
4年前にiPhone6/6 Plusで撮影されたと思えないクオリティ。
そして本編よりも興味深いのが、このメイキング。
iPhoneだけでなく、スタビライザーやグリップ、専用のレンズなど重装備で撮影しています。 当時はこんな様々な種類のiPhone専用機材があるのにも驚きでした。
そして2019年4月に公開されたAppleのこのCMでは、iPhone XSを使って撮影しています。
自然撮影集団のCamp4 Collectiveが撮影を手がけており、こちらも特殊な機材やレンズを使用しています。

CMをみただけでは本当にiPhoneで撮影しているの?と疑問に思いますが、メイキングを見ると、実際に壮大な自然の中で撮影していることがわかります。そびえ立つ雪山、サメが泳ぐ海、ナミビアに広がるサバンナ、煮えたぎるマグマ…過酷な撮影だったことがわかります。
そしてこの過酷な環境にも耐えられるiPhoneXSの頑丈さも伝わってきます。
CMだけでなく、映画もiPhoneで
2015年にiPhone5sで撮影された映画「タンジェリン」
2018年にiPhone7 Plusで撮影された「アンセイン ~狂気の真実~」
高額な撮影用機材ではなく、iPhoneで撮影を試みる映画監督も少なくありません。
2015年にiPhone5sで撮影された「タンジェリン」、2018年に iPhone7 Plusで撮影された「アンセイン ~狂気の真実~」などが、実際に長編映画として公開されています。
iPhoneで撮影したものが商業映画として公開され、当時は話題となりました。
以下、「アンセイン ~狂気の真実~」のソダーバーグ監督がなぜiPhoneで撮影したかを言及した記事です。
ソダーバーグ監督は、iPhoneのカメラで映画を撮影したことに関して、Indiewireのインタビューで「これが未来だと思う」との意見を語っています。
iPhone Mania より引用
iPhoneカメラはもちろん35mmカメラの代わりにはなりません。The Guardianによれば、映画は温かみを持つセルロイド製フィルムで撮影されなければならないという人も存在し、いまだに冷徹で解像度の高いデジタル映像に耐えられない観客もいるとのことです。
ソダーバーグ監督は、このデジタル映像の冷徹さと、鮮明さを維持したまま被写界深度の浅い映像が撮れる点を考慮し、iPhoneカメラを撮影機器として選んだとされています。方向感覚を失わせる効果を生み出すのが目的のようです。
被写界深度が浅いと、背景のイメージもすべてクリアに映像に映り込むため、観客はどの物体に焦点を合わせるかの選択を常に迫られるとのことです。
そしてiPhone11Pro の実力は
米国の批評誌Consumer Reportsは、iPhone 11 Pro Maxを「最高のスマートフォン」としてランク付けしたことを発表しました。その主な評価ポイントとしては、前年モデルからのバッテリー持続時間の長さとカメラ品質の向上が挙げられています。
engadget より引用

iPhone 11 Proのカメラは、一眼レフカメラにも迫ると言われています。
では、ビデオカメラとしてはどうでしょうか。
アメリカのメディア企業「CNET」が姉妹紙の自動車情報サイト「Carfection(カーフェクション)」にiPhone 11 Proのみで自動車紹介ビデオを撮るプロジェクトに挑戦してほしいと依頼しました。
Carfectionはこのプロジェクトに挑み、フォード・マスタング・ブリットのビデオを全てiPhone 11 Proで撮影しました。
撮影のためにスタビライザーやスライダー/三脚を使用し、音声は個別のマイクとオーディオレコーダーで録音されています。
そして、デジタル一眼で撮影したかのような質感を出すために、動画撮影アプリの「FilMiC Pro」が用いられています。

今回のプロデューサーであるチャーリー・ローズ氏はiPhone11 Proについてこう述べています。
普段使用するパナソニックのGH5と違ってiPhone11proはポケットに入るサイズだ。だから最初は小さすぎて少し違和感があったけど、ホワイトバランス、シャッター速度、マニュアルフォーカスの設定が行えることにまず驚いた。ただローアングルから撮影するのには、もう1台のiPhone11proをモニターとして使用する必要があった。ローアングルからの撮影が1番難しかったね。編集するときに素材を確認してみると、ダイナミックレンジ(捉えることができる明るさの幅)がすごいことに気づいた。
youtubeより
iPhone11 Pro × FiLMiC Proで無限の可能性
これまで紹介してきた作品のなかで、FiLMiC Proを使用していないものはないのでしょうか?
FiLMiC ProとはAPP storeで¥1,840で購入できるスマホ向けカメラアプリで、安価にも関わらず本格的な映像手法が使え、プロも愛用している高性能カメラアプリです。
先ほどのCarfectionが撮影した自動車紹介ビデオでも、FiLMiC Proが使用されています。
より性能がわかるこの映像をご覧ください。
iPhone SEでFilMic Proを使って撮影しています。
ホワイトバランスやシャッタースピードを巧みに変え、使いこなすことができればこのように映画のような質感も再現できます。
今年バージョンアップしたFiLMiC Pro
今年9月に開催されたApple Special Eventの終盤に、新しいFiLMiC Proが紹介されました。
先ほど映画の事例で紹介した「タンジェリン」のショーン・ベイカー監督とFiLMiCのCTOが登場します。
なんと、バージョンアップしたFiLMiC ProではiPhone11 proの全てのレンズの映像を同時記録できるようになりました。
そして4Kでの撮影も可能です。

このように、それぞれのレンズの画角枠が表示され、4つのカメラの中から任意の2つを選んで同時に記録することでができます。

インカメラとアウトカメラでの同時撮影にも対応しているので、インタビューの聞き手と話し手や、二人の登場人物の会話などをiPhone1台で撮影できます。
インタビューの撮影も簡単にできるので、ドキュメンタリーの分野でも活用できるのではないでしょうか。
リリースがいつかはまだわかりませんが、これからの発表に期待です。
最後に
iPhone11proとFiLMiC Pro、そして少しの機材が揃えば、一眼レフカメラで撮影したかのようなクオリティの映像に仕上げることができます。
iPhoneのカメラやそれに伴う撮影アプリの進化は著しいです。
これからの映像表現には機材のスペックは関係ないのかもしれません。